重んずる心と風情を大切に。お蝋燭とお線香の扱い方
当店のホームページをご覧頂きまして誠にありがとうございます。暑さと寒さも彼岸までと申しますが、まだまだ寒暖差の激しい日々が続いております。皆さまに置かれましては体調などお変わりありませんでしょうか?さて、まだまだ乾燥が強いこの時期。火の取扱いには十分な注意が必要です。今回は、仏壇周りで使用するお蝋燭とお線香について、少しお話ししたいと思います。
■お蝋燭やお線香の本来の意味とは?
お線香をあげる目的は、先にお話しした「お線香の選び方」というコラムでも触れましたが、次のような3つの理由があります。
・仏様や故人の食べ物として供えるため
・失礼のないように自らを清めるため
・お浄土の清浄な世界を表現するため
上記以外にもお浄土への橋渡しとしての役割やお線香が燃え尽きる様子は、自身が無くなるが周囲に良い薫りを残すことから【利他】を表しているとも言われます。
そして、お蝋燭の火は「灯明(とうみょう)」として知られ、御仏の智慧(ちえ)と慈悲を象徴します。お蝋燭の炎は周囲を分け隔てなく均一に照らし、燃焼していく様子は自身をすり減らしても迷いの中にある者に光明を与えてくれるといった役割があります。仏壇の三具足の一つである「灯火」は、あの世からの導きとして位置づけられ、仏壇の威厳を高めるとされています。また、彼岸への案内や、私たちとご先祖を結ぶ役割も果たします。
■お蝋燭やお線香は火事に繋がりやすいのか?
今回の焦点である火事の可能性についてお話しします。まず、結論から言いますと、出火の可能性は極めて少ないと考えられます。商品開発側でも様々な状況で実証実験を行い、商品の安全性に配慮しながら開発を進めているため、よほどのことがない限り火災につながる状況になりにくいとされています。
実験の内容をご説明しますと、畳や木材、カーペット、布団やティッシュなどにお線香の火種が落ちるケースや、お線香自体が倒れたケースを試しましたが、燃焼時間に多少の差はあるものの、焦げ目がつく程度で収まる状況となりました。
ただし、お蝋燭についてはお線香以上に注意して使う必要があります。お蝋燭の熱は燃焼時にかなりの高い位置まで届いています。仏具などを触る際に、何気に伸ばした腕の下にお蝋燭が灯っていれば、思わぬ事故に繋がる可能性があります。また、花立に造花を使っている場合や、カーテンの近くなどでお使いの場合もご注意下さい。いずれにせよ周囲に可燃物が無い環境であり、十分な距離を設けてお使いいただければ安心です。
■まとめ
この季節は特に皆さまも火の取り扱いに注意を払って過ごされていると思います。最近では、電子化したお蝋燭やお線香が増えていますが、それぞれが持つ香りや煙、灯火には深い意味があります。そのため、火をつけて使用する伝統的なお蝋燭やお線香を安全に取り扱っていただくことをオススメします。火災防止の観点だけでなく、仏壇を清潔な状態に保つことを心がけながら、お蝋燭やお線香を灯して、穏やかなひとときを過ごしていただきたいと思います。ぜひ、お仏壇の前でご先祖を偲びながら、香りや灯火のゆらぎを楽しんでください。