熟練の技と伝統が織りなす仏壇製作のヒミツ

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仏壇のイメージ画像

冬も終盤に差し掛かり日々寒さが続いている中、皆さま体調面はお変わりなく過ごされていますでしょうか。さて、今回は仏壇についてのお話です。国内の一般的な仏壇製作には、複数の職人が携わっています。木地師・彫刻師など様々な専門の職人が独自の技術を駆使して仏壇製作をしています。職人一人ひとりの手によって、美しい造形が施された仏壇が生まれています。そんな職人に焦点を当てて、どのようなことをされているか解説致します。


■仏壇の骨組みを作る木地師

木地師は仏壇の根幹となる骨組みを作る職人で、桧や松、サワラ、ヒバ、ツガ、欅などの木材を用いて仏壇製作を行っています。木地づくりは、総ヒノキづくり木地が最高品質とされており、「桧張り合板」なども使用されることがあります。木材は製材後、自然乾燥させることで、何年経っても狂いが生じないよう頑丈に加工されます。


■細部の美を掘る彫刻師

細やかで繊細な彫り物を担当する彫刻師。仏壇の様々な個所に施されています。前彫りと内彫りに分かれ、柔らかい木材を用いて手彫りで仕上げます。彫刻の技法には筋彫り、平彫り、付彫りなどがあります。


■屋根作りを担う宮殿師

仏壇の屋根と柱の二つを組み合わせて宮殿(くうでん)と呼ばれる部分を作る職人です。細やかな桝組(ますぐみ)を格子状に組み合わせて屋根を築いたり、破風などの模様を刻むなど、職人技が光る部分を担っています。


■仏壇の彩りを作る塗り師

塗り師は木地師や荘厳師が作った部分を塗装する役割を担います。この工程には多くの段階があり、漆の乾燥には特殊な乾燥室「むろ」が必要です。黒塗り、朱塗り、溜め塗りなど、様々な塗り方があり、それぞれ独特の美しさを演出します。


■漆面の最終仕上げを行う呂色師

呂色師は、漆塗りの工程後の仏壇に最終的な仕上げを行う職人です。呂色漆で塗装された表面を炭で研ぎ、漆を塗り込んで仕上げる役割を担います。炭研ぎ、どうずり、仕上磨きなどの技法があり、すべて手作業で行われています。


■繊細な絵柄を描く蒔絵師

塗り面に絵柄を描く職人です。引出類・障子・後門板・御文書箱などに様々な絵柄が施されます。技法には平描蒔絵、盛上蒔絵、沈金、彩色などがあります。前工程で丁寧に作業されたモノに対して集中して手作業で対応する工程で、それぞれの部分に店舗やお客様の希望に応じながら仕上げていきます。


■金具で仏壇を飾る金物師

仏壇を飾る金具を作る職人です。表金具と内金具に分かれ、それぞれ手鋳造金具や電鋳と呼ばれる金具を製作します。金物の細工は、仏壇の豪華さを引き立てる重要な要素です。また、金具を入れることにより構造の安定性を保つ役割も果たしています。熟練した職人の手作業が仏壇の価値を高める大きな役割を担っています。


■仏壇に輝きを与える箔師

仏壇の様々な部分に金箔を貼ることで、仏壇に輝きと高級感をもたらします。一般的には金・銀・銅の合板で作られた極薄の金箔を使用します。箔を適切に仏壇の表面に配置し、艶を出す「艶出し」や、艶を抑える「艶消し(重押し)」といった技法が用いられます。これにより、仏壇の表面には独特の質感と光沢が生まれます。


■金箔からさらに彩りを加える彩色師

自然素材と伝統的な技術を駆使し、金箔の表面に鮮やかな絵画を描き、美しい彩色を施す職人です。一般的に、白く塗られた木地に何層もの色を塗り重ね、堂々とした彩りを生み出す極彩色や、金箔に淡い色を重ねて作る金彩色などの手法が一般的です。荘厳な雰囲気を演出するために、芸術的な感性が求められます。絵具の調合も重要な要素であり、細かく繊細な作業が必要で、高い集中力が求められます。


■各職人の作ったものを丁寧に組み立てる組立師

部品が全て整ったら、金箔を貼った仏壇に外部および内部の金具を取り付け、仏壇を完成させていく職人です。金箔の装飾や障子の模様張り、組み立てた部分の内部組み込み後、微調整をしながら戸障子を取り付けます。その後、全体を総点検して最終的に完成させる作業です。これは緻密な手仕事であり、同時に最後の工程での力仕事でもあります。



■まとめ

いかがでしたでしょうか。仏壇1つを作るまでに様々な工程を経て、店頭や皆さまのご自宅に置かれていることをご理解いただけたかと思います。末永く置いていただけるように職人が想いを込めて手作業でお作りをしていますので、軽いお手入れなどをこまめにしていただけると幸いです。


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