夏の風物詩「地蔵盆(じぞうぼん)」とは?
当店のホームページをご覧頂きまして誠にありがとうございます。堪え難い暑さが続きますが、いかがお過ごしでしょうか。仏壇の取り扱いに際して、通常の換気や清掃に加え、暑さや日差し対策も必要な時期となりました。8月はお盆もありますので、ご先祖供養でお墓参りに行くなどしてみて下さい。さて、今回はお盆の行事とも関連が深い「地蔵盆」についてお話を致します。
■夏の風物詩「地蔵盆」とは?
地蔵盆(じぞうぼん[地蔵盆、地蔵祭り])は、いわゆるお地蔵さんの像で知られる地蔵菩薩の縁日と、関連する行事のことをいいます。地蔵盆は京都が発祥とされ、子どもたちの健やかな成長を願う行事として、近畿地方を中心に全国に広まりました。開催時期は地域ごとに異なりますが、夏のお盆時期や8月23日・24日に行われる行事とされています。
■地蔵盆は子どものためのお祭り
地蔵盆は、子どもの守り佛として古くから信仰されており、現在は道祖神と同じように村を守る役割を果たしています。また、子供の守護神的な存在としても知られています。町角や路傍にたたずむお地蔵様は道祖神信仰にも結びつきがあり、 私たちの暮らしにもなじみ深い菩薩様です。地蔵盆の主役は子どもたちです。そのため、地蔵盆は大人ではなく子どもが主体となって催され、お地蔵様をさまざまな方法で供養します。
■地蔵盆の由来
地蔵盆の由来は諸説ありますが、その中の一つをご紹介いたします。 仏教では、親よりも先に亡くなってしまった子どもは、三途の川にある賽(さい)の河原で石を積まなければ成仏が叶わないとされていました。しかし、ある程度高く積みあがると、そこへ鬼がやってきて塔を壊してしまいます。それを哀れんだ地蔵菩薩が、子供たちを抱いて錫杖(しゃくじょう)の柄に取り付かせ、自分が子どもたちの親となって守り、成仏へと導きました。それ以降、町角などに地蔵菩薩を祀り、子どもの幸せや健康を願う民間信仰が広まったとされる説がございます。
■実際に当日すること
①町内の「辻地蔵(地蔵さん)」をきれいにする
地蔵盆が近づくと、お地蔵様を洗い清めて前掛けを新調し、お地蔵様に化粧を施します。古くから赤には魔除けの意味があり、子どもたちを守って欲しいという願いが込められていると言います。
②提灯を飾る
地蔵尊と子どもの名を書き入れた提灯を飾ります。提灯は地域ごとに使用する色が異なります。当店の地域では赤と白と青が使われている提灯が飾っていますが、他のエリアに行くと配色が異なっています。ぜひ、地域ごとの提灯の特色を楽しみながら周ることをオススメします。そして、名前を入れるのは、地蔵尊と子どもの両者の縁を結ぶという意味があるとか。また、その年に生まれた子供の名前を書いた提灯を奉納し、それらを毎年地蔵盆に飾る地域もあります。
③地蔵さんにお菓子をお供えする
その後、地蔵さんへのお供えものを子どもたちに分ける「お接待(地域によっては「おさがり」)」が行われ、子どもたちはお菓子を食べたり、ゲームなどの遊びや福引きなどをしたりして、楽しく過ごします。祭壇には、花などを飾り付けて、紅白の餅や落雁(らくがん)、果物などを供えます。 地蔵盆でお供えするものは後で子どもたちがいただくことから、菓子や花、餅などが一般的です。また、お金を包む場合に使用するのし袋には、白い封筒もしくは紅白蝶結びの水引がついたものを選び、封筒には「お供え」「御供」「灯明料」「御尊前」などと表書きします。ただし、住んでいる地域や子ども会などであらかじめルールが決められていることもあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
④数珠まわし
地蔵盆で行われる伝統行事の一つが「数珠まわし」です。これは、直径2~5メートルの大きな数珠を囲んで輪になって子どもたちが座り、僧侶の読経にあわせて順々にまわすというもの。この大数珠を身体に当てると、邪気を払い除け、身を清めてくれると言い伝えられています。
■最後に
今回は、子どもが主役の夏の行事「地蔵盆」について取り上げました。夏は特にご先祖さまや仏様にまつわる行事や風習が多くありますので、機会があればまたご紹介させていただきます。最後まで読んでいただきありがとうございました。